探偵目線から考える警視庁による令和6年11月末におけるSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況について
近年、SNSを利用した投資詐欺やロマンス詐欺の被害が深刻化しており、警視庁が発表した令和6年1月から11月末までのデータでもその深刻さが浮き彫りとなりました。本記事では、詐欺の実態や特徴を数字を基に解説し、被害防止のための注意点について考察します。
SNS型詐欺の急増
令和6年1月から11月末までに認知されたSNS型投資・ロマンス詐欺の総件数は9,265件で、前年同期比で5,958件増加しました。また、被害総額は約1,141億円に達し、前年より763.4億円の増加が確認されています。
このうち、SNS型投資詐欺の認知件数は5,939件(+4,037件)、被害額は約794.7億円(+569.8億円)。SNS型ロマンス詐欺は3,326件(+1,921件)、被害額は約346.4億円(+193.7億円)と、いずれも大幅な増加を記録しました。
被害の特徴
- 被害者層
投資詐欺の被害者は男性が55.3%、女性が44.6%と男性の割合がやや高く、ロマンス詐欺では男性が62.6%、女性が37.4%という結果でした。特に50代から60代の被害が多く、経済的に余裕がある層がターゲットになりやすい傾向が見られます。 - 被害金額の分布
投資詐欺の被害額は「500万円以下」が最も多く、「1千万円以下」や「5千万円以下」と続きます。一方で、1億円を超える被害事例も存在しており、詐欺の深刻さが伺えます。 - 主要な手口と連絡手段
接触方法: SNS型投資詐欺は、バナー広告やダイレクトメッセージが多く利用されています。特にInstagramやFacebookが多用され、被害者との信頼関係を築いた後に金銭要求が行われるケースが主流です。
詐称職業: 投資詐欺では「投資家」や「著名人」、ロマンス詐欺では「会社員」や「医療関係者」といった信頼を得やすい職業を装うことが確認されています。
金銭の受け渡し方法: 銀行振込が主流ですが、暗号資産も詐欺の手段として利用されています。
検挙状況
令和6年11月末時点での検挙状況は、SNS型投資・ロマンス詐欺に関連する事案が193件、検挙人数が90人でした。詐欺グループが国内外を跨いで活動していることもあり、検挙には依然として困難が伴います。
被害防止のための対策
詐欺被害を防ぐためには以下の対策が有効です。
疑わしいメッセージを無視する
投資や恋愛を餌にしたメッセージに安易に応じないことが大切です。
第三者に相談する
詐欺被害は孤立しやすい傾向があります。親しい人や専門家に相談することで冷静な判断が可能になります。
セキュリティ意識を高める
SNSのプライバシー設定を強化し、個人情報を安易に公開しないよう注意しましょう。
金融機関や警察への連絡
被害に遭った場合は、速やかに警察や金融機関に連絡し、被害拡大を防ぐ行動を取ることが重要です。
最後に
SNS型投資・ロマンス詐欺は巧妙化しており、誰もが被害者になり得ます。警視庁のデータからも、その深刻さが明らかです。私たち一人ひとりが注意を払い、正しい情報を共有することで、詐欺被害を減らすことができます。